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京都議定書のもと排出される二酸化炭素を抑制する目標と計画を達成すべく、省エネの推進や温暖化ガスを増加させない新エネルギーの導入が、国などの助成をバックに図られていますが、その中でも木質バイオマスエネルギーが、導入される地域に貢献できるということで各地の自治体での取り組みが急速に進められています。
1. 新エネルギーの比較
化石燃料以外の新エネルギーを分野ごとに比較します。 平成15年9月
項 目
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燃料コスト
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投資コスト/KWh
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供給
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貯蔵
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設置条件
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地域への貢献
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太陽エネルギー |
ゼロ |
50万円以上(電池) |
不安定 |
不可 |
広大なスペース |
なし |
風力発電 |
ゼロ |
20万円以上 |
不安定 |
不可 |
風速、騒音、
景観 |
なし |
未利用エネルギー
(ヒートポンプ) |
駆動電力 |
10万円以上 |
不安定 |
不可 |
気温などの
制約 |
なし |
廃棄物熱利用 |
マイナス |
10万円以上 |
安定 |
可能 |
住民の反対、
排出基準 |
なし
(マイナス) |
バイオマス熱利用 |
重油より
安価 |
5〜10万円 |
安定 |
可能 |
貯蔵部分の
占有面積 |
あり
(林業など) |
2. 木質バイオマス熱利用の特徴
新エネルギーは温暖化防止という理由のほか、外国からの輸入による化石燃料に頼らず、エネルギーの自己供給が可能であるというメリットがあります。
その中でも太陽エネルギー利用や風力発電においてはエネルギー自体のコストはゼロであり、省エネルギーという観点からは大きな魅力です。しかし一方で設置のためのコストは高く、またそのエネルギーを年間を通して貯蔵ができないというデメリットがあります。
それに対して木質バイオマス熱利用は、森林によるCO2の吸収など地球温暖化に対しては中立であり、二酸化炭素削減目標達成のひとつの有力な方法です。木質のエネルギー自体のコストは廃棄物でない限り、ゼロではありませんが、一般的に重油燃料よりも安く調達することが可能であり、特にその地域の木質需要を起こし、林業を活性化させ、地域産業や雇用を促進するという他の新エネルギーにはない大きなメリットがあります。
3. 自治体にとっての木質バイオマスエネルギー導入のメリット
自治体などが取り組む新エネルギー利用においては、特に木質バイオマス熱利用が、他の新エネルギーに比べて制約も少なく、安価なエネルギーとして採算を考慮した投資効果もあり、一方で燃料の貯蔵も可能で年間の負荷の変動に対応できるなど、業務用の施設などで主要な熱源として利用しやすく、最も実現可能な方法のひとつといえます。
また、導入により一定量の木質の消費が見込め、それを地域から調達すれば、自治体内での地元の利益をもたらすことができる新エネルギーといえます。
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